羊乳特有のうまみを持ちながら、ハチミツのような上品な甘みが残るのが特徴。濃厚でこってりとしていながら、クセなく食べやすいチーズ。
形こそチェダーに似ているものの、食べると比較的さっぱりしてマイルドな味わいながら、複雑でなんともいえぬコクがあります。
若干の塩けや酸味があり、一度食べたら忘れられない、とても個性的な風味です。
この独特の風合いは、特殊な製法によるところが大きいといえるでしょう。
一晩ねかせたカード(凝乳)を翌日のカードと混ぜてつくられるので、自然の乳酸菌が働いて、酸味を帯びた前日のカードが特有の風味をかもし出すのでしょう。
今でも伝統的なランカシャーは、包帯を巻きラードを塗って熟成させます。
食べごろは2ヶ月たったころ。
10ヵ月も熟成させたものは、さらに個性が強まり通をうならせるおいしさです。
イギリスの冒険小説「宝島」の中で、ベン・ガンが毎晩のように夢見たのがこのチーズ。
それほどまでベン・ガンを魅了した理由は、やはり味でしょう。
シェリーやポートワインと一緒に。
イギリス風チーズトーストを試してみては。
チーズ、ピ一ル、卵黄にウスターソースをまぜたものをパンにのせてトーストしたもので、実はチェダーよりランカシャーのほうがおいしいともいわれています。